低用量ピルは安易なSEXを
増やすものなんかじゃない
ナースあさみ
2018.12.31

はじめのご挨拶から


はじめまして、ナースあさみと申します。

文字通り、看護師を仕事にしています。臨床経験は10年目。
大学病院で6年勤務した後、今は民間病院で病棟看護師をしています。


これまで働いてきた病棟は、消化器外科内科、一般内科、整形外科あたり。
緩和ケアや終末期看護、医療倫理も好きで、学会に参加したりもしています。

看護の他にもいくつか仕事をしています。
みなさん、家事代行サービスってご存知でしょうか?
その中で作り置きの仕事をしています。

小さい頃から家事や料理が大好き。
図書館で有元葉子さんや栗原はるみさんの本を借りてきては、熟読しているような小学生でした。気になるレシピは食材費を親からもらい、自分で買い物から調理まで実施。出来たごはんを家族に献上していました。

家の中の掃除、整理整頓でも特に困ったことがなく、それがまさか家事代行という仕事で活かせるなんて思ってもみませんでした。

それから、書くこと。
大学病院を退職したあたりから、自分の発信をコンテンツに、そして仕事にしていきたいと志すようになり、ブログとnoteの更新を始めます。
自分のペースで好きなことを書けるというのが合っていたのか、書いてきた記事数は1000を超えました。中には10万PVを越すような記事もあり、読んでくれる人がいるって本当にありがたいなと思いながら執筆しています。

こういう経緯があり、多くの女性や家族と関わってきた経験を活かして、Lady Knows Voiceに参加することとなりました。

どうぞよろしくお願いいたします。

低用量ピルは、本当に避妊薬?


さて、初回から情報量が多くて恐縮ですが、私には持病があります。
それは、月経困難症と子宮筋腫。

その症状緩和目的のため、看護師をはじめた頃から低用量ピルを服用しているのですが、決まって言われるのが

そんなに避妊が必要なの?
あさみさんってビッチじゃん
副作用って大丈夫?

この3つ。

ピルを服用しているナースあさみは副作用よりも避妊を優先する、下半身がだらしない女なのでは?
これを的確にあらわしたセリフだと言えるでしょう。

月経困難症の治療薬として認められもう10年が経とうというのに、世間の認知度は所詮この程度。低用量ピル=避妊薬という認知が一般的なためなのか、普及率も4%と先進国の中でも最下位です。

あらためて、低用量ピルとは?


では、ここで低用量ピルについて簡単に説明させてください。

低用量ピルとは、女性ホルモンを調合した薬のこと。
先にも話した通り避妊が目的のひとつではありますが、ピルによって得られるその他のメリットのために処方を求める人も多くいます。

それは、PMSや月経困難症の症状緩和。

生理痛もその程度は人それぞれ。ちょっとお腹が痛いという人もいれば、鎮痛剤を内服してものたうちまわるほどの痛みに苦しんでいる人もいます。その症状緩和に有効なのが低用量ピルなんです。

では、どうして症状が緩和するのでしょう。

それは低用量ピルによって排卵が抑制されることで、生理の時に排出される子宮内膜の量や規模が縮小するから。結果、過度な子宮収縮が抑制されることで腹痛が軽減し、経血量も減少すると言われています。

PMSや月経困難症の治療目的で処方される薬剤をLEPと言い、私はこれを内服しています。LEPではなくOC(経口避妊薬)もあり、患者さんの病状や目的によって医師が判断、処方しています。

ちなみに、低用量ピル、緊急避妊薬(モーニングアフターピル)をもらうのに医師の処方せんが必要なのは日本だけ。欧米では薬局で市販されていますし、モーニングアフターピルに限っては中学高校の保健室で無料配布されている国もあります。

低用量ピルも立派な薬。
もちろん、副作用やリスクもあります。

ひとつは血栓症。ピルを内服することで血液の固まりやすさが亢進し、血栓形成のリスクがあがります。このモニタリングのため、定期的な採血でのチェックが必須となります。(保険適応かどうかは医療機関や目的による)

もう1つ、飲み始めの際に嘔気や頭痛などといった症状が出現してしまうこと。やはりホルモン剤ということで、身体が慣れるまでそのひずみが出てしまう人もいるのです。私の友人で、この副作用がつらくてピルをやめてしまった人も数人います。それほどまでに、ホルモンの影響というのは凄まじいのです。

安心・安全が保たれてこそ


ここまでお読みいただければ、もうおわかりかと思います。
低用量ピルを内服している女性=下半身がだらしない女性ではない、ということに。

むしろ、女性性(女性を女性たらしめている要素)をケアしているという点で、逆だと言えるのではないでしょうか。

望まない妊娠をしないためのリスク管理をしているわけですし、毎月やってくる生理に対して対策までしている。
ある研究によれば、低用量ピルの内服によって排卵を抑制することで、いざ妊娠を望む段階になった時に、妊娠しやすくなったという結果も出ています。

実は、私たち女性が排卵する卵の数は、生まれた時に決まっています。受精し細胞分裂を繰り返していく中で、初期に作られるのが生殖器。女性はここで、生涯に排卵する卵の数が決まります。もう胎児になる前から次世代のことがプログラミングされているなんて、神秘的ですよね。

それから、低用量ピルが普及すると出生率が下がるのでは?と懸念をもっている人もいるでしょうが、それは杞憂だと思います。

男性主体の妊娠や望まない出産をした女性が、生まれた子どもと健全な親子関係を築き、子育てしていけるとお思いでしょうか?
しあわせいっぱいの家庭でも起こりうるDVや育児放棄、社会的孤立のリスクが一層上がってしまいます。

出生率を語ってしまうと、要因や環境、システムなどキリがないですが

今は産まないという選択をしているけれど、わたしはいつでも産むためのアクションを起こせる

こういうベースを女性自身が保持できるとよりよい意思決定が可能になるでしょうし、今後のライフプランももっと充実するはずです。

自分の未来は、自分で決める


ネットやSNSの普及によって、いつでも情報にアクセスできるようになった一方で、情報が飽和してしまい、何を選びとっていいかわからない情報迷子も増えているように思います。

だからこそ、自分で選択すること。そして、自分の選択を肯定する勇気と覚悟を持ち合わせることが求められているのです。

今回のテーマで言えば

低用量ピルを飲んでもいいし、飲まなくてもいい
避妊行動をとってもいいし、とらなくてもいい

すべては、自分次第。
あなたの選択が未来をつくっていきます。

低用量ピルだって、あくまでも手段。
毎日を自分らしく生きるためのアイテムにすぎません。

自分らしい健やかな毎日を生きるという目的を、どうか忘れないで欲しいです。


最後に。

Lady Knowsを通して、自分らしい選択と行動を肯定できる人がもっと増えていけばいいなと願っていますし、微力ながらもそのお手伝いができれば本望です。

ライター:ナースあさみ
編集:辻愛沙子

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Profile

看護師、保健師。
大学病院で6年勤務した後、民間病院の病棟看護師として勤務中。臨床経験は10年目。
数年前から家事代行サービスでご飯の作り置き、ブログやnoteの執筆をスタート。
作り置きに伺ったお宅は延べ250件、作成した記事は1000を超える。
好きな食べ物は焼き鳥と餃子(B級グルメ万歳!)小さい頃から有元葉子さんと栗原はるみさんの書籍がバイブル。
その人らしい生活といのちを支えることがモットーです。

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